エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
碧の身体は珠希を抱きしめたままゆっくりと傾いていき、あっという間にふたりの身体はベッドに倒れ込んでしまった。

「碧さんっ?」

仰向けに倒れた珠希の上に、端正な碧の顔が乗っている。
珠希は慌てて起きあがろうとするが、まるでそれを拒むようにぎゅっと抱きしめられる。

「え……っ」

気づけば碧の形のいい鎖骨に額を当て、横抱きにされていた。
それも腕だけでなく、碧の脚に下半身を押さえつけられていて、身動きがとれない。
細身の見た目に反して筋肉がバランス良くついた碧の身体は固くて力強い。
長時間のオペに備えてジムで身体を調整していると言っていたが、納得の力強さだ。

「碧さん? 大丈夫ですか?」

珠希はどうにか顔を上げ、碧の様子を確認する。
倒れた反動でどこか怪我をしていないかと心配したが、ここはベッドの中だ。大丈夫のようだ。

「碧さん……まさか、寝ちゃった?」

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