エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
それはきっと、拓真が現役時代にピアノの専門誌で拓真の特集が組まれたときに掲載され、話題になった写真だ。
今では実家のリビングに、珠希の写真と並べて飾られている。
「拓真さんは長男だからご実家を継ぐのは当然だとわかっていても、やっぱり残念です」
何度聞いてもその言葉には慣れそうにない。
まるで珠希が家業を継げばよかったのだと責められているような気がするのだ。
「でも、ファンとして拓真さんをこれからも応援しようと思って、お薬を買うなら和合製薬って決めてるんです」
それも拓真のファンの間ではおきまりのことのようで、冬場の今、和合製薬が販売している市販薬の中でも、風邪薬は他社の製品の何倍もの売り上げを出している。
「……ありがとうございます。あ、写真を撮り終えたようですね。……くるみちゃん、お母さんがお迎えに来てるよ」
珠希は拓真の話をまだまだ続けそうなくるみの母からそっと距離を取り、ツリーの前にいるくるみに声をかけた。
その後珠希は事務所で雑務を終え、志紀とともに職場を後にした。
金曜十八時の大通りは、周辺を彩るイルミネーションを楽しむ人で溢れていた。
「毎年綺麗だね」
煌びやかな光を見上げ、珠希は感嘆の声を漏らす。
この界隈は、通りに面した多くの店舗が個性豊かな電飾で外壁を彩ることで有名で、テレビの中継が入るなど、この時期の風物詩となっている。
本当なら今日は、仕事終わりの碧と待ち合わせてこのイルミネーションを一緒に楽しむ予定だったのだが、容態が気になる患者がいるからと、昼すぎには断りのメッセージがスマホに届いていた。
「なになに? やっぱり旦那様に会いたくなった?」
事情を珠希から聞いていた志紀は、からかうように珠希の顔を覗き込む。
「そんなこと……ない」
図星をさされ、珠希は視線を泳がせる。
今では実家のリビングに、珠希の写真と並べて飾られている。
「拓真さんは長男だからご実家を継ぐのは当然だとわかっていても、やっぱり残念です」
何度聞いてもその言葉には慣れそうにない。
まるで珠希が家業を継げばよかったのだと責められているような気がするのだ。
「でも、ファンとして拓真さんをこれからも応援しようと思って、お薬を買うなら和合製薬って決めてるんです」
それも拓真のファンの間ではおきまりのことのようで、冬場の今、和合製薬が販売している市販薬の中でも、風邪薬は他社の製品の何倍もの売り上げを出している。
「……ありがとうございます。あ、写真を撮り終えたようですね。……くるみちゃん、お母さんがお迎えに来てるよ」
珠希は拓真の話をまだまだ続けそうなくるみの母からそっと距離を取り、ツリーの前にいるくるみに声をかけた。
その後珠希は事務所で雑務を終え、志紀とともに職場を後にした。
金曜十八時の大通りは、周辺を彩るイルミネーションを楽しむ人で溢れていた。
「毎年綺麗だね」
煌びやかな光を見上げ、珠希は感嘆の声を漏らす。
この界隈は、通りに面した多くの店舗が個性豊かな電飾で外壁を彩ることで有名で、テレビの中継が入るなど、この時期の風物詩となっている。
本当なら今日は、仕事終わりの碧と待ち合わせてこのイルミネーションを一緒に楽しむ予定だったのだが、容態が気になる患者がいるからと、昼すぎには断りのメッセージがスマホに届いていた。
「なになに? やっぱり旦那様に会いたくなった?」
事情を珠希から聞いていた志紀は、からかうように珠希の顔を覗き込む。
「そんなこと……ない」
図星をさされ、珠希は視線を泳がせる。