エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
「俺が言ったこと、忘れたのか? 遥香ちゃんも俺も、珠希の演奏に鳥肌がたつほど感動したって言っただろう? 忘れっぽいようだから、もう一度言っておこうか?」
「あ、いえ、大丈夫です。忘れてませんから」
本気で繰り返しそうな碧を、珠希は慌てて止める。
「そう言ってもらえるのはうれしいんですけど、なにもあそこまでのグレードは必要ないかと……」
「いや、どうせなら一番いいものを買いたかったし、相談に乗ってくれた営業の人から講師ならこの程度のグレードは必要ですって力説されたんだよな」
「……営業の戦略勝ちってことですね」
珠希は碧が顔を合わせたという営業担当の顔を思い出し、苦笑する。
碧がエレクトーンを注文したのは、鰻店で結婚を決めた日の翌日だったらしい。
あの日白石ホテルを後にしたふたりは、その足で珠希の実家に出向き珠希の両親から結婚の承諾を得た。
碧との結婚を切望していた両親に反対する理由などなく、それどころか珠希の母は嬉々として碧の母親に電話し、ふたりの決断を伝えてしまったのだ。
もともと結婚する気配のない碧に気を揉んでいた宗崎家にも異論はなく、その瞬間ふたりの婚約は正式に整い、結婚に向けての動きが加速した。
「うちで代々引き継がれている指輪を婚約指輪として受け取ってもらうことになったから、エレクトーンはその代わりの意味もあるし。それに、防音もばっちりだから、ここに生徒を呼んでレッスンするのもありだし。第一、俺が珠希に演奏してもらえるのが楽しみなんだ」
だとしても、婚約した早々ひとりで店に出かけて契約を済ませてしまうとは。
そのフットワークの軽さと決断力に、珠希は脱帽する。
なにより碧が選んだのは最上位のモデルだ。相談くらいしてほしかったが、珠希が遠慮するのを見越してさっさと契約から配送手続きまで済ませてしまったのかもしれない。
「あ、いえ、大丈夫です。忘れてませんから」
本気で繰り返しそうな碧を、珠希は慌てて止める。
「そう言ってもらえるのはうれしいんですけど、なにもあそこまでのグレードは必要ないかと……」
「いや、どうせなら一番いいものを買いたかったし、相談に乗ってくれた営業の人から講師ならこの程度のグレードは必要ですって力説されたんだよな」
「……営業の戦略勝ちってことですね」
珠希は碧が顔を合わせたという営業担当の顔を思い出し、苦笑する。
碧がエレクトーンを注文したのは、鰻店で結婚を決めた日の翌日だったらしい。
あの日白石ホテルを後にしたふたりは、その足で珠希の実家に出向き珠希の両親から結婚の承諾を得た。
碧との結婚を切望していた両親に反対する理由などなく、それどころか珠希の母は嬉々として碧の母親に電話し、ふたりの決断を伝えてしまったのだ。
もともと結婚する気配のない碧に気を揉んでいた宗崎家にも異論はなく、その瞬間ふたりの婚約は正式に整い、結婚に向けての動きが加速した。
「うちで代々引き継がれている指輪を婚約指輪として受け取ってもらうことになったから、エレクトーンはその代わりの意味もあるし。それに、防音もばっちりだから、ここに生徒を呼んでレッスンするのもありだし。第一、俺が珠希に演奏してもらえるのが楽しみなんだ」
だとしても、婚約した早々ひとりで店に出かけて契約を済ませてしまうとは。
そのフットワークの軽さと決断力に、珠希は脱帽する。
なにより碧が選んだのは最上位のモデルだ。相談くらいしてほしかったが、珠希が遠慮するのを見越してさっさと契約から配送手続きまで済ませてしまったのかもしれない。