思い思われ嵌め嵌まり
「戻りましたー」

昼休憩を終えた景子は店のガラス扉を押し開け、軽やかな声を響かせた。

「おかえりなさーい」

数人の明るい声が返ってくる。景子はアパレルショップで販売員として働いている。

「ねえ景子、どうだった?」 

同じく販売員で友人の橋野(はしの)広美(ひろみ)から声を掛けられた。

「あ、(ひろ)ちゃん! いたよ! いたいた!」

「じゃあやっぱり会社がこの辺なのかもね。良かったじゃん」

「うん。もうすっごいドキドキしちゃったよ」

嬉しさが込み上げ、つい口元が緩んでしまう。

「その彼、今頃すっごい考えてるんだろね。『誰? 取引先の人? いや、この前行った居酒屋の店員か?』なんてね」

慣れた手つきでカットソーを畳みながら広美がおかしそうに笑った。
< 2 / 25 >

この作品をシェア

pagetop