思い思われ嵌め嵌まり
「でも、考えてもらえてたら成功だよ。ちょっとでも私の存在を印象付けれたってことだよね? それが好印象だといいんだけど……」

景子は小さく息を吐いてから少し唇を尖らせた。

「そりゃあ印象には残るよ。こんな美人から、にこりともしないで会釈されたらね」

「やだ……言わないでよ」

景子は唇を尖らせたまま、ぷう、と頬を膨らませた。

「うーん……見た目は問題なし! だけど……極度の人見知りってとこに少々問題あり、かな」

広美も同じように唇を尖らせた。

「だよね……かなり問題ありだよ」

「ほんと、それでよくアパレル販売員やってるよね」

広美はズケズケと物を言う。けれども裏表のないそんな広美の性格が景子は好きだった。

「自分でも思うよ。でも不思議なことに、好きなこととか興味のあることに関しては積極的になれるみたい……」

「顧客の数は、景子が断トツだもんね。景子の内面から溢れ出してるものにみんな惚れちゃうんだよ、きっと。天職だね」

そんな広美からのその言葉が景子は物凄く嬉しかった。

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