冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い

「何でもないよ。優ちゃんには関係ないから」


 寂しさと悲しさで凛子の口調が強くなる。


「凛子、俺に嘘をつくとすぐにバレるって分かっているだろう?」
「そうだよね。優ちゃんはいつも私の嘘にすぐ気づく。でも! 私の気持ちには一切気がついてくれないじゃない! 優ちゃんだって私に嘘ついてる!」


 凛子は瞳から溢れ出る涙を止めることなく、優に向かって想いを吐き出した。


「もう知らない!」


 優の為に作ったお弁当を凛子はブンっと投げ捨てた。本当は満面の笑顔で、丁寧に両手で優に渡すはずだったお弁当は床にゴロンと寂しそうに落ちている。


「凛子っ……」


 優は眉間に皺を寄せ、投げ捨てられたお弁当を見た。


「優ちゃんのばかぁぁあ!!!」


 凛子はかけ出した。もう優の顔を見てられない。妹を見るような瞳で見つめてくる優の優しい視線が辛かった。


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