冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い
凛子は力が抜けたように防犯ブザーから手を離した。妹じゃなくて、女として大切にして欲しい。周りにバレないよう小さくため息をついた。
ガチャリと鍵の開く音が聞こえた。凛子以外にも人が居たようだ。
「あんたたち、惨めね」
氷の刃のような冷たく尖った声が聞こえた。
(あっ、この声……)
何度か聞いたことのある声に凛子はそっと息を潜めた。今自分が出ていったら大変なことになりそうなのが目に見えたからだ。
「れ、麗奈さんっ……」
女性社員の声色が固く、怯えた色に変わった。
「あなた達、こうして本人のいない狭〜いトイレでしか何も言えないのかしら? だから社長ファンクラブとか言ってみんな平等的なことを言ってるけど、それはただの逃げよね。自分に自信がないだけ。だから周りを巻き込んで弱いもので固まる。本当、街灯に集まる虫けらね。そんな自分って恥ずかしくないわけ? まぁあなた達虫けらが社長に告白しようが何しようが私達は全く痛くも痒くもないわよ。ねぇ、凛子さん?」
……はい?