線香花火


それができないんだってことは、もうわかりきっている。


だから代わりに、僕はこう言う


「かなちゃん、線香花火しよう」


クシャっとなった線香花火を一本彼女へと手渡す。


それを彼女が触れられるかは分からない。


でも、不思議と線香花火だけは触れられる気がしたんだ。


「……当たり前でしょ」


嗚咽しながらも彼女が差し出した線香花火を掴んだ。


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