【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「ところで、そのポケットいっぱいにしている石ころは何だ?」
「帰ってのお楽しみです!」
そう、なんの変哲もなく、少しゴツゴツした石ころ。
運がいいことに、オーナーが魔法で作ってくれた服には、左右の腰に大きなポケットがある。
これ幸いとばかりに、坂道を下りながら、拾ってきたのだ。
妖精たちの作り上げた、他者を寄せ付けない空間に足を踏み入れる。
帰りも、モクモクの雲と七色の虹が出迎えてくれた。
先導するように飛んでいるのは、先ほど助けてくれた妖精に違いない。
飛び方が妙にのんびりとしているのは、オーナーの魔力でお腹がいっぱいだからなのだろうか。
「……ところで、リティリア嬢と、王宮魔術師殿シルヴァ殿とは、どこで知り合った? まさか、カフェフローラの求人が、初めての出会いというわけではあるまい」
「――――騎士団長様」
「……それは、俺から話そうか」
「ん? 目覚めたのか。魔力もずいぶん回復しているな……」
軽やかな動作で、オーナーは地面に降ろされた。
少しふらつきながらも、二本の足で地面に立ったオーナー。
その時、急に視界が晴れて、私たちは、騎士団長様の馬車を目の前にしていた。
「妖精のいたずらか……」
「ええ、送り届けてくれたようですね」
妖精たちは、迷い人を無事送り届けてくれる。
いたずら好きで、人との距離を縮めてくることは、例外を除いてほとんどないけれど、妖精たちは基本的に人に好意的だ。
「では、失礼して」
「……空間魔法で、移動されてはいかがですか?」
「魔力がほとんどなくて、弱っている人間に対して、優しさのかけらもないのかな? ヴィランド卿は」