【受賞・書籍化予定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

紫色の瞳をした姉弟


 ***

「おかえり、姉さん」
「ただいま。エルディー」

 私は、三年ぶりに実家に帰ってきた。

 私と並ぶくらいの背丈だった弟、エルディーは、会わない間に私の背を抜いてしまい、見上げないと目線が合わなくなっていた。

 長身の騎士団長様と比べれば、少し低いかもしれないけれど、私より三歳下の弟には、まだ成長の余地がある。

 ……どこまで大きくなるつもりなのかしら。

 私の後ろには、騎士団長様とオーナー。

「お久し振りです。王宮魔術師シルヴァ様」
「ああ。エルディーも、大きくなったね。出会ったときは、こんなに小さかったのに。感慨深いよ」
「…………そこまで小さくありません」

 オーナーが作った、人差し指と親指の隙間。
 そんなに小さくはなかったと、私も思う。

「それから、ご挨拶が遅れました。アーサー・ヴィランド卿ですよね? はじめまして、リティリアの弟、エルディー・レトリックと申します」
「ああ、アーサー・ヴィランドだ。よろしく頼む」

 なぜか、弟は騎士団長様に値踏みでもするような鋭い視線を向けた。
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