【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「…………騎士団長様」
「リティリア。進もうか」
「はい」

 羞恥心いっぱいのまま、それでもなんとか妖精たちの領域を私たちは抜け出す。
 一緒に来た人たちは、魔鉱石採掘の専門家だ。
 魔鉱石なんて見慣れているだろう彼らから、ざわめきが起こる。

 それはそうだろう。こんなにも魔鉱石が密集している場所なんて、大陸中探したってほかにはない。
 これで、私の一番の役割は終了だ。

「……これはすごいわね」
「ええ、大陸有数の産出地ですから」
「そう。一緒についてきてよかったわ」
「あれ?」

 次の瞬間、私を抱きかかえる騎士団長様が力を込めた。
 決して私のことを離さないとでも言うように。

「あら、今回も騎士団長様は、ついてきてしまったのね」

 気がつけば、私たちの前には、赤い屋根の小さな家。
 そこには、白銀の髪にアメジストの瞳を持った美女が一人立っていた。
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