【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「……お久し振りです。魔女様」
私を背に隠すように立った騎士団長様は、深くお辞儀をする。
私も慌てて頭を下げる。
「いいのよ。頭を上げてちょうだい。リティリアと一緒なら、あなたも歓迎してあげるわ。面白いもの」
「感謝いたします」
今日も魔女様は、少し怖くなるくらい美しい。
騎士団長様の緊張感が、伝わってくる。
魔女様という存在は、王都に来てから実在すると知った。
私にとっては、七色の不思議なサクランボを分けてくれる人、という印象しかないのだけれど……。
誰よりも強いはずの騎士団長様が、こんなに警戒しているところを見ると、私が間違っているのかもしれない。
「ところで、シルヴァと会った?」
「……オーナーと? ……会いましたが」
「元気だった?」
「……それは」