【受賞・書籍化予定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「な……」
「不正の証拠です。王弟殿下であろうと、さすがに隣国とまで内通されては……罪は免れないでしょう」

 その中の一枚が、私の手に舞い落ちる。
 そこには、王弟殿下がレトリック男爵領への支援を着服した証拠が記されていた。
 そして、男爵領が潰れたあと、魔鉱石の採掘権を手に入れるための方法、婚約破棄された私にかつて打診が来たのは、王弟の息がかかった高位貴族ばかりだった。

「――――アーサー様」
「ふむ、こちらにはギリアム・ウィアーのことも書かれているな。……レトリック男爵領の災害の一部はやはり人為的なものだった」
「……そうですか」

 会場中の貴族たちが、紙を拾い上げて食い入るように見ている。
 ばらまかれた用紙全てが、証拠だとでも言うのだろうか……。

「これで、終わりだな」
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