【受賞・書籍化予定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 膝をついた王弟殿下を冷たく見下ろし、騎士団長様はそのまま国王陛下が座る壇上へと上がった。
 なぜか、私の手を引いて。

「陛下、申し訳ありませんが、血が繋がっていないとはいえ、我が母ヴィランド前伯爵夫人も加担していたようです。いかようにも処分を。騎士団長の職を辞して領地に隠遁するなどいかがでしょうか」
「……ふふ。王国の淀みを片付けておいて、何を言う。恨みも買ったことだろう。身を守るためにも、騎士団長の職位はこれからも必要なのではないか?」
「ふふふ……」
「ははは……。悪いが、お前のことを離す気はない。さあ、代わりに若い二人の婚約を祝ってやろう」
「ありがたき、幸せ」

 二人でお辞儀をしながら思う。
 騎士団長様は、明らかに騎士をやめて領地でのんびりしたかったのだと。
 こうして、私たち二人の婚約は、公式に認められた。
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