【受賞・書籍化予定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 騎士団長様は、お忙しいらしい。

 しばらく、騎士団長様が出て行った入り口を眺めていたけれど、お客様が次々来店してバタバタと過ごすうちに、あっという間に昼を過ぎていた。

「在庫は問題なかったわ……。あとは、焼き菓子を作って帰ろう」

 星の光に惹かれたのか、次々とお客様がいらして、ずっと満席だったけれど、今は空席が目立つ。
 ティータイムまでは、ひととき店内も落ち着くだろう。

 私は、バックヤードに入り、お菓子を作り始めた。

 ***

 でも、それから三日間、騎士団長様は、お店にいらっしゃらなかった。

「どうしたのかしら」

 私は、ただの店員で、騎士団長様はお客様。
 来る、来ないは、もちろんお客様の自由だ。

 だけど……。

 たったあれだけの時間で、うたた寝してしまうほど疲れていたのに。
 魔女様の家に行ってしまったあとも、夜中働いて、そのあとも仕事だなんて。

 仕事が終わっても、帰る気になれず、今度こそ実現した、初恋をイメージしたハートとフリルがデザインされた制服のまま座り込む。

 すると後ろから急に肩を叩かれた。

「ひゃ!?」

 その気配に気がついていなかった私は、驚きのあまり椅子から飛び上がる。

「……ダリア?」
 
 振り返ると、そこには心配そうな表情を浮かべたダリアがいた。
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