【受賞・書籍化予定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

星降る夜のカフェ


 踏みしめる度に、リリーンッと涼やかな鈴の音が響き渡る。
 白銀の光の中を歩いていると、まるで同じ色をした騎士団長様の魔力に包まれているようだ。

 流れ星のように煌めきながら、その中を妖精が飛び回る。

「本当に綺麗」

 もし、オーナーのことがなければ、こんなにロマンチックな夜を騎士団長様と過ごせることに、うっとりと幸せな気分になっただろう。

(でも、それよりもなによりも……)

 ギュッと胸元の布地を握りしめた私に何を思ったのだろう。騎士団長様がそっと手を重ねた。

「心配するな。なんとかなる、そしてしてみせる」
「……アーサー様」

 顔を上げると、私を安心させるように淡いグリーンの瞳が弧を描いていた。
 こんなときに不謹慎だと思いながら、ドキリと心臓が音を立てる。
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