【受賞・書籍化予定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

(これが、全部オーナーの魔力で作られているなんてやっぱり不思議)

 そんなことを思いながら、開店時間になったので扉を開ける。
 そこにはすでに、背の高いお客様が開店待ちをしていたらしく立っていた。

 その人は、淡い金の髪に碧眼の壮年の男性だ。
 着ている服から、上流階級であることがわかる男性は、けれどどこかチャーミングに微笑んだ。

「目立たない席が良い。案内してもらえるかな?」
「は、はい!!」

 目立たない席といえば、あの席しかないだろう。
 今日は、騎士団長様はお忙しいと言っていた。
 何でも、午後に隣国から要人が訪れるから、陛下の護衛任務に就くのだとか……。
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