【受賞・書籍化予定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「――――好きだと言ったら、信じてもらえるのだろうか」
「…………はい?」
「ここまで通じないとは。そこまで、眼中にないのかと、心が折れそうなのだが」

 ……ある日、強面の鬼騎士団長と呼ばれるお方が、私の働く乙女系カフェにコーヒーを飲みに来た。
 初めて騎士団長様が、お店を訪れた、あの日から数ヶ月が過ぎた。
 騎士団長様は、ほとんど毎日、コーヒーだけ飲んで、私に笑いかけて、そして帰って行った。

「まさか、私に会いにお店に来ていた、なんてこと……」

 そうだったらいいな、という私の希望的観測で、妄想で、ただの夢だったはずだ。

「……今さらか」
「え? 私に会いに来ていたって、本気ですか?」
「……ほかに理由があるとでも?」
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