【受賞・書籍化予定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
 そして、翌朝も、もちろん騎士団長様はお店を訪れた。
 いつもと、違うのは、ペちゃんと潰れたようなかわいらしい顔と、くったりとした見た目の大きなクマのぬいぐるみを抱えてきたことぐらいだ。

 ……あれは、もしかして、昨日から向かいの雑貨店で始まった、もりのクマさんくじ引きの特賞?
 今日のテーマが、森のかわいい動物たち、だから?
 ……まさかね。

 小さく首を振って、店内を案内する。
 オーナーの魔法で、今日の店内は緑豊かな森の中のようだ。
 切り株のようなテーブルと椅子が置かれていて、周囲の緑には赤や黄色の小さな木の実がなっている。

 イメージに合わせた制服は、細い茶色のストライプが入ったワンピースと、昨日に比べてフリルが多くてリボンが大きい白いエプロン。
 私のカチューシャには、偶然か茶色いクマ耳がついている。

 一瞬、私のクマ耳に騎士団長様の視線が釘付けになったような気がしたけれど、そんな視線はいつものことと言えばいつものことなので、気にしないことにする。

 切り株のような椅子とテーブルに、騎士団長様を案内して座ってもらう。
 いつもより少し低くて小さい椅子とテーブルは、長身の騎士団長様が座ると、どこか窮屈そうだ。
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