年下男子
「商品の手配なら、課長でなくてもできたのに」
「うん、そうね」
でも、他に頼める人がいなかった。

「なんで俺じゃダメだったんですか?」
「それは・・・」

なぜだろう。
宮田君の前ではカッコつけていたかったからかな。
そもそも普段何の接点もない私のために宮田君が動いたら余計に怪しいじゃないの。
そう思ったけれど、言えなかった。

「もしかしてまだ課長のこと」
「はあ、何バカなこと言っているのよ」

順とのことはすべて過去。
だからこそ順だってランチに誘ったんだろうし、私も同席した。
もし少しでも気持ちが残っていれば、絶対に行かなかったと思う。

「だったら、もう少し行動に気を付けてください」
普段は絶対に聞かない宮田君の冷たい声。

言われた私の方は、驚くと同時に腹立たしくなった。
確かに、誤解を招く行動だったのかもしれないし、そのことで私や順が中傷されるのは嫌だなとも思う。
でも、そのことで宮田君に叱られる筋合いはない。

「宮田君、あなたは何の立場で私に説教するわけ?少なくとも今は私の方があなたより上席なわけで、こんな風に呼び出して文句を言われる理由はないと思うけれど?」

きっと私のことを心配して言ってくれている宮田君にひどい言い方かなとは思うけれど、私だってカチンときていた。
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