年下男子

「修平君がわざわざ私のところに来て、加山主任のことは穏便に処理してくださいと頭を下げた」
「え?」

気にしてくれているのは知っていたけれど、そこまでしてくれたなんて・・・

「君のまじめで一生懸命な仕事ぶりは私も知っているし、評価もしている。修平君が気にするのもわからなくはない。しかし加山君」
一旦部長の言葉が止まったのがわかって私は顔を上げた。
「修平君と君では立場が違う。山本君の時のようなことがあっても誰も味方になってくれるものはいないぞ」

私は何の関係もないと言っているのに、部長の言葉は脅しのように聞こえる。
どうやら私は本気で疑われているらしい。

「ご安心ください。立場はわきまえております」
「そうか、わかった」

これ以上騒ぎが大きくなれば、もしかして宮田君や会社にも迷惑がかかるかもしれない。
この時の私はそんな気がしていた。

「ところで部長、先日件ですが?」
「ああ、そのことだが・・・本気なのか?」
今度は本格的に困った顔。

「ええ、色々考えて出した答えです。家族のこともありますし」
「うーん、できれば君を手放したくはないんだが・・・」
「ありがとうございます。でも、もう決めたことですので」
「それにしても急すぎるだろう」
「先延ばしにしてもいいことはありませんし、課長がいてくだされば用は足りるはずです」
「しかし・・・」

実は私にはまだ宮田君にも言っていないことがある。
それは、来月いっぱいでの退職を考えていること。
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