継母に永遠の眠りの呪いを掛けられましたが、解呪の力を持つ婚約者が訪れることなく二百年の月日が流れて、自力で目覚めた姫は私です。




 そんな悲しみが胸を苦しめながらも月日は流れ、姫ももう時期成人の儀が訪れようとする頃、城の空気が変わります。

 隣国の王子が姫の婚約者として決定し、国王が新しい妃を迎え入れたのです。

 継母となった新しい王妃は、六人の娘を連れて城にやって来ました。

 突如出来た六人の妹に困惑しながらも、国王の支えになれるようにと、自分の気持ちに踏ん切りを付けて新しい家族を迎えました。


 ただ六人の妹達は不思議な力を持っていて、姫を何かと除け者にします。


 人魚のように泳げる力や魔法の絨毯で空を飛べる力、歌声で動物達と会話出来る力……など個性豊かな力は国民にとって大変物珍しく、六人の新しい姫達に魅了されていきます。


 その力は全て……継母となった新しい王妃、罪悪の魔女が与えた力だったのです。


 新しい王妃は六人の娘達を利用しながら、ありとあらゆる手を使って、しつこい程愛して止まない国王を手に入れようと必死でした。


 ようやく手に入れられたと思い込んでいた新しい王妃でしたが、不思議な力を持ってしても越えられない壁がありました。


 美しく愛される姫という存在は国王にとって大切なもので、心から愛した王妃を感じさせてくれる宝物だったのです。


 愛する家族に寄り添う国王の姿に嫉妬した新しい王妃は、姫に矛先を向けました。







< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop