竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~

43.誓いの言葉

 その日は雲一つない晴天だった。


「すごいドレスですね」


 そう口にしたのはヒバリちゃんだった。わたしの着替えを手伝いながら、キラキラと瞳を輝かせている。


「ありがとうございます。お願いして、作ってもらったんです」


 幾重にも重なるレースに、上品に施された刺繍。わたしのためのウェディングドレスだ。
 前世で作ってもらったドレスのデザインを必死に思い出しながら、出来る限り再現してもらった。


「よく似合っていますよ。きっと、リアン様もお喜びになると思います」


 ヒバリちゃんはそう言って朗らかに笑う。


「ありがとう。ごめんね、まだ赤ちゃん小さいのに」

「そんなこと、気にしないでください。子育ては夫婦二人でするものです。今はアクセス様が見てくれてますから」


 二人の間には先日、可愛い男の子が生まれた。アクセスによく似た顔立ちの、ヒバリちゃんみたいに穏やかな性格の赤ちゃんだ。
 不愛想なアクセスが、すっかり子煩悩になってしまった。彼のデレデレした表情は中々に見物で。旦那様とニコラスの何とも言えない表情がまた可笑しかった。


「それに、大事な親友の門出を側で祝えて嬉しいもの」


 ヒバリちゃんの言葉に胸がじんわりと熱くなる。
 ありがとうと言って、わたしは笑った。



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