【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜
□ただの同期から夫婦へ

ムカつく同期



 そしてその週の金曜日のこと。


「桃子」

「……北山くん?」

 営業二課の北山くんと話すのは、あの告白の日以来だろうか。

「桃子、聞いた。……結婚するんだってな、加瀬と」

「……あ、うん」

 確かにあの日、私は千歳のプロポーズを受け入れる形になった。
 身体を重ね合い、千歳の罠にまんまとハマった。千歳を男して認識させられて、千歳の独占欲にドキドキしたことは確かだ。

「付き合ってたのか、加瀬と」

「……え?」

「加瀬と仲悪そうにしてたのも、付き合ってることを隠すためだったのか?」

 北山くんからそう言われると、なんて答えたらいいのか分からない。実際私たちは、付き合ってなんてなかった。
 私は千歳のことをよく知らないし、千歳のことを男として見たことなんてなかったし。

「そうだよな。加瀬と付き合ってたから、俺はフラれたんだよな」

 北山くんのその悲しそうな表情を目にすると、少しだけ心が痛む。

「……ごめんね、北山くん」

「いいんだ。俺も加瀬と付き合ってると知ってたら、好きになってなかったかもだし」

 北山くんにそう言わせたのは、この私だ。罪悪感を感じざるを得ない。

「幸せになれよ、桃子」

「……ありがとう、北山くん」
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