君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
俺の手にある離婚届を、父は心苦しそうに見つめた。

「……出会っています」

俺は呆然とつぶやいた。

父が介入などしなくても、俺とみちるは母たちの望み通り、運命的な出会いを果たしていたのだ。

「出会っている?」

「みちるを迎えに行ってきます」

気が急き、これ以上話す時間も惜しくなった。

「兄さん、心当たりはあるの?」

真紘がすぐさま問いかけてくる。

「ああ。必ず見つけ出す」

「絶対連れて帰って来て。俺ついみちるちゃんにひどいこと口走っちゃったんだ。謝らなきゃ」

自責の念に苛まれる真紘にしっかりとうなずいた。

すぐに見つけ出してみせる。

みちるを手放すつもりはかけらもない。





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