君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
「俺の笑顔?」

「好きなんです、郁人さんの笑った顔が」

彼の端整な顔がほころぶと、私は幸せな気持ちになるのだ。

今日海に来て、こんなにたくさんの笑顔が見られるとは思ってもみなかった。

私の発言が意外だったのか、郁人さんは固まっている。

少し面映ゆくなった。

本当は笑った顔だけじゃなく、郁人さんの全部が好きだと言えたらいいのに。

「郁人さん、あと三カ月、よろしくお願いします」

私たちの結婚生活はまだ半分残っている。

本当の夫婦のようにはなれなくても、これから新しい関係が築ければいい。






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