センセイとわたしのただならぬ関係
 それから先生と夕食を共にした。
 父はすっかり先生を気に入ったようで、車だからと断る先生に「今日は泊っていけばいい」とお酒を進めた。
 
「あのときの、ウエイターがきみか」
「はい、その節は失礼いたしました」
「いや、私も酔っていたからね。あそこの肉料理は絶品だね。また、店に寄らせてもらうよ」
「ありがとうございます」

 父はビールグラスを傾けながら、さらに話を聞いた。

「しかし、なんで、高校で教えているきみが、あの店で働いているんだ?」

「私の両親は教師でして、わたしが教職につくのは彼らの望みでした。でも4年間教師をやって、自分に向いていないという気持ちが日々膨らんでいまして。それで、学生時代からの夢だった飲食店を持つ夢も追いかけてみようかと」

「先生がお店を出したら、わたしが食器のプロデュースをするよ」
「おい、ずいぶん気が早いな」
 
 そんな話をしながら、なごやかに夜は更けていった。


「おやすみなさい」

 先生を客間に案内し、わたしが自室に行こうとしたとき、「梅谷」と引き留められた。
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