センセイとわたしのただならぬ関係
「いいお父さんじゃないか」
「そうかな」
「梅谷が可愛くて仕方がないんだろう。大事にしなきゃ」
「はーい」と、ちょっと納得いかない気持ちを込めて、返事した。

 先生は苦笑い。

「でも、だからといって、子供の人生をコントロールしようとしたのは間違いだね。だから俺も、自分の夢を追求するべきなんだろうな」

 彼はそう告げた。

「母と話し合うよ。今まで諍いを避けてきた。逃げていたんだ。俺も。そのことに気づいたよ。梅谷のおかげだよ」
「そんな、わたしは何も」
「本当に一緒に店をできたらいいな」
「はい」

 先生は手を伸ばし、わたしの髪をゆっくり優しく撫で、それから、そっと抱き寄せた。

「先生……」
「おっとヤバいな。これ以上、一緒にいたら歯止めが効かなくなりそうだよ」
 
 顔を真っ赤にして俯くわたしに、先生は優しく微笑みかけた。

「おやすみ」
「おやすみなさい」

 心のなかが温かな感情で満たされている。
 こんなに幸せな気分になったのは、生まれて初めてのように思う。

 先生の夢、見れるといいな。
 そう思いながら、ベッドに寝ころび、目を閉じた。
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