午後2時のカフェオレモーニング
平木は約1時間書斎に戻り6時半頃、魚の焼ける匂いがしてきたので下に降りた。
「この魚・・・ニジマス・・・うまい。」
「佐久地方で養殖しているのよね。食べ物は地元の物や旬の物を食べていると体にいいわ。春にはアクの強い山菜が多いけど、クマとか冬眠する動物は寝ていて体にたまった毒素をそのあくで流すらしいの。面白いわよね。だから人間も同じ、季節をめでて食すのがいいのよ。あなたももう少し歳を取るとわかるようになるわ。」
「・・・そういうこと、いろいろ教えてほしい。子供の時、祖父母もいなかったし親ともろくすっぽ話をしなかったから。」
「そう・・・」
「煮物も、お味噌汁もおいしいです。」
「お味噌は小諸のお店のよ。小諸は言ったことある?」
「いえ・・・」
「ひなびたところだけどいい街よ。おいしい蕎麦屋もあるし、味噌屋もある。行く時があったらいろいろ教えるわ。」
「あの・・・旦那さんが亡くなってからはずっと一人ですか?」
「ええ、でも旦那が生きているときからこんな感じ。私はカフェ、旦那は書斎。大してかわらない。でも夕飯を一人で食べるのか寂しいかな。だから、イャじゃなかったら付き合って。」
「それは嬉しいんですけど・・・少しはお代取ってください。」
「そんなのいらないわよ。一人も二人も大して変わらないもの。」
「でも・・・」
「わかった。では、朝昼晩部屋付き1500円でどうかしら。」
「そんなんでいいんですか? 朝だけと変わらない・・・」
「だって、この店はお金のためにやっているわけではないから・・・人がいるだけでうれしいのよ・・・」
「わかりました。ありがたく・・・そうさせてもらいます。」