俺はずっと片想いを続けるだけ*2nd

悪魔が来たりて~クリストファー

目の前の悪魔が涼しい顔をして、しれっと言った。
『彼女には、その権利がある筈ですよね?』と。

俺より7歳も年下の小僧だ。ガキだ。
そして、こいつは。
あの忌まわしい…
俺を、危うく放火犯にさせて(してないけど)
2週間の嫉妬地獄に突き落とした……

あの意味のないお別れ合宿を主催した馬鹿野郎。
ドノヴァン・マクファーレン・グラント。
グラント侯爵家の嫡男。

 ◇◇◇

俺が10年間想い続けて、やっとグレイスと結ばれた(?)のは、ひと月前の事だ。
例の白い結婚は続いているので、厳密には結ばれてはいない(!) 状態だが、外部の人間にはバレていない。


新婚なのに、なんで?
グレイスが未だにウチのベスト・オブ・客室の『天使の間』で、眠っているのか?
それはカーテンのせいだった。


壁紙のせいで、カーテンのせいで。
天使と結ばれないなんて。
俺はファブリックの悪霊に取り憑かれているのかも。


妹からは
『二度と部屋のことには、口も手も出すな、だけど金は出せ』と、厳命された兄である。

愛する妻のグレイスに全てを任せようとしたら、天使はよりにもよってうるさい小姑のカリーナに
『先輩も一緒に選んでくれませんか?』なんて
言うから。

カーテンはカリーナがイチ押しした、東国製に
なった。
そしたら手織りだか何だか知らないが、完成には半年以上かかると言われたのだ。


めちゃくちゃ高価なのは我慢できる。
俺はこう見えて結構稼いでいるし、個人的資産も中等部の頃にはじーさん、いや先代様からいただいていた。
(ここから学生の分際で専門家を雇う金は出ていた)

だけど!朝昼夕と彼女と寄り添っているのに!

夫婦の部屋がまだ完成しないのは辛すぎた……
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