俺はずっと片想いを続けるだけ*2nd
全く、何もないとは言わない。
新婚旅行先のホテルで。
俺の寝室で。
彼女の客室で。
近いことはあった。
だが、決定打は決めていなかった。
ゴールにはまだ遠かった。

俺なりにがんばりました、出来る範囲で!

けど!やっぱり!
夫婦の寝室で熱い夜を過ごして、朝を迎えたい!
ヒラヒラのスケスケの熱い夜を過ごしたい!
半年以上先だと、グレイスの夜着は寝冷え防止のホカホカした厚手のものになってしまう!


毎日、可憐な天使に愛をお伝えしながら。
正直、俺は焦れている。
この1ヶ月間は無事に生き抜けたが、半年先まで神様からのお迎えが来ないとは言いきれないじゃないか?

たったひとり自分の寝室で、朝目覚めると俺は神様に感謝を捧げる。

(今日も俺を生かしてくださって、ありがとうございます)


神に感謝を忘れず、慎ましく、日々を過ごす俺に。
どうして神は試練を与え給うのか……!




ドノヴァン・マクファーレン。
赤毛の悪魔の先触れは、いきなりだった。

新婚の休暇はもうすぐ終わる。
グレイスともう一歩進みたい俺は、ふたりでもう一度何処かへ旅行に行くプランを立てていた。

朝食後、グレイスにその旨を伝えて、いちゃこらしながら相談しようと思っていたのに。

家令がその知らせを持ってきた。

「若奥様のご友人と仰る、グラント侯爵家御令息のドノヴァン様より、若様と若奥様にお会いしたいと先触れが参りました」
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