俺はずっと片想いを続けるだけ*2nd
俺は扱いに困る『ヤバい本物の困ったちゃん』の王太子殿下の側近で新婚休暇により、殿下と離れていることで心は平和を取り戻した。
それなのに、自分中心のかまってちゃん如きに構っている暇はない。

「幼馴染みに対して冷たいのね」

ちょっと待ってくれ?
俺達の薄い関係性を幼馴染みと言うのなら、
初等部から留学まで、ずっと一緒だった同級生100人強と幼馴染みになる。
幼馴染み100人出来るかな?
出来ました、だ。

「結婚した先輩として、
 アドバイスが欲しかったのよ」

知らんがな。
嫁としてのアドバイスなんて、男の俺に出来る訳がない。
結婚についても。
人にアドバイス出来る位なら、こんな俺ではない筈だ。

食べることが大好きな天使にランチを抜かせた。
海が大好きな天使に『寝かせて』と言わせた。
こんな俺に結婚について語る資格はない。

「結婚自体に文句がないのなら婚約者と話せよ」

それだけ言って、俺はホテルを出た。
下手な事を言って、その言葉尻から相談にもつれ込まれるのを
避けたかったからだ。
こういうタイプは関係ない話からでも自分の話に持っていく。

グレイスに会ったら、今夜一晩だけ泊まって帰ろうと、聞いてみるつもりの俺だった。
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