俺はずっと片想いを続けるだけ*2nd
「殿下は凄い運動音痴でね
 所謂、運痴というやつで……」

「……知っています、凄く有名です」

すっと旦那様の表情が消えました。
絶対に知られてはいけない秘密のはずが、結構な範囲で知られている事など思いもよらなかったのでしょう。

王太子殿下のお側に居すぎて、他の方からの情報が回っていないのだと、察した私はお可哀想な
情弱旦那様の右の耳朶を引っ張ってあげました。
こうするとくすぐったいのか、旦那様が喜ばれるのです。

旦那様の寝室で寝起きするようになってから、
ふたりの時は『クリス』と呼ぶようになっていました。


「殿下やクリスの学年では、運動の授業の単位を落とされた方がいらっしゃらないのは有名ですよ?
 底辺が殿下なので、誰も落第に出来なくて、
ですよね?
 それから図書室の殿下の穴は、そのままになっていましたし」

今、明かされた事実に旦那様は打ちのめされた様です。
それで、お慰めしたくて両方の耳朶を引っ張りました。
良かった、ちょっとだけ笑ってくれたので安心です。
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