11年目のバレンタイン〜恋を諦める最後の告白
「この指輪はどうだ?」
「ちょっと派手じゃないかな?あんまり普段身につけるものじゃないけど、これだと服が合わせづらいよ」
「……そういうものか」
真人さんが真剣に悩んでる。
人生を左右する重大イベントに必要なアイテムだから、そりゃあ必死になるよね。
ああだこうだ、と2人で意見を交わしながら、結局無難なティファニーのエンゲージリングに落ち着いた。
「ありがとうな、美幸ちゃん。おかげで助かったよ。彼女も喜んでくれると思う」
プロポーズの場面でも想像しているのか、ニコニコ笑顔の真人さん。彼女、という言葉でわたしには引導を渡されたも同然だけど。
「こんなに遅くまですまなかった……送るよ」
「もう!すぐ隣だからいいよ。危ないことなんてないって」
徒歩10秒で自宅の玄関に着くんだから、そこまでする必要は無いのに。真人さんは昔から律義に送ってくれる。
以前はそれも嬉しかったし幸せだったけど……今はむしろ、苦しくてたまらない。
「そうはいかないよ。君だって女の子なんだから」
(女の子扱いしたことないくせに…!!)
思わず、恨みごとを心の中で呟いた。