冥府の女神のヤンデレ愛・妄想爆裂・古代メソポタミア神話
「ネルガル様、椅子をお持ちしました」
しばらくして、
ナムタルが、大きな椅子を運んできました。

「足を洗うための水と、桶もありますので、お使いください」

「ああ、ありがとうございます」

ネルガル神は、本から目を上げて、軽くナムタルに頭を下げました。
「それではお食事の準備をします。
ビール、肉、パンを、お持ちしますので」

ナムタルは口早にそう言うと、
すぐに、立ち去って行きました。

ネルガル神は、揺れるナツメヤシの葉を見て、
父であるエア神の注意事項を、
思い出していました。
「冥府で出されるものを、口にしてはいけない。
椅子に座ってもいけない」

「もし、そうしたら・・？」

「すぐに、エレシュキガルの前に引きずり出されて、
＜死の眼差し＞を、受ける事になるだろう」

ネルガル神は懐（ふところ）から、干したナツメヤシの実を出して、かじりました。

戦闘神ゆえ、戦場の過酷な環境は慣れています。
それからまた、本に目を落としました。
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