冥府の女神のヤンデレ愛・妄想爆裂・古代メソポタミア神話
それぞれの部屋には窓がなく、
家具もなく、床に敷物があるだけです。
しかし、
どの部屋からも、中庭に通じるテラスがあり、
中庭の中央に、大きなナツメヤシの木が植わっていました。

外部に通じる扉や窓がないのが、すぐにわかりました。
事実上の軟禁状態です。

「この中庭には、出てもいいのだろうか」

ネルガル神は戦闘神なので、
捕虜の扱いも知っています。
縛られたり、地下牢に入れられないだけましなのだろう。

「ええ、もちろんです」
ナムタルが壁に手をつくと、
扉が表れました。

「それでは、また、後ほど」
そして、扉をくぐると、
扉は消えて、砂色の壁に戻っていました。

ネルガル神は、ナツメヤシの根元に座り込みました。
葉擦れの音と、小鳥のさえずる声が、聞こえます。

空を見上げると、
どんよりとした薄雲で、覆われています。

「ここは静かな場所なのだな」
息を大きく吸うと、
懐から本を取り出し、読み始めました。
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