冥府の女神のヤンデレ愛・妄想爆裂・古代メソポタミア神話
「あと、ケーキ大好きで、
天界土産は必ずケーキかプリン。
私も、天界のスィーツショップに
詳しくなっちゃいましたよ」

ナムタルが笑いながら、
川の中に家具を一個入れて、門をくぐります。

「そういった菓子を、用意すればよかったかな」
ネルガル神は、心配げに聞きました。

「もし、この次、
ご訪問される機会があれば・・・」

ナムタルが、ネルガル神の瞳を、
ぐいっと見つめました。
「そうだな。今日、きちんとお話ができれば・・」
ネルガル神は、自分の衣の懐(ふところ)に
そっと手をやりました。

冥府の宮殿に着くと、
ナムタルは侍女に
「エレシュキガル様に、
客人が来たと、取り次いで欲しいのだが」

侍女は、離宮の中庭にある
ナツメヤシの木を指さしました。
「エレシュキガル様は、
離宮にいらっしゃるはずです」

離宮の日干し煉瓦に、ナムタルが手を当てると、扉が出現しました。

「ここからは、ネルガル様、
お一人で行かれたほうが、いいと思います」
ナムタルは、貞子・エレシュちゃんを、ちょっと思い出して、苦笑しました。

「20分ほどしたら、
私が、お迎えに入りますので」

「わかりました」
ネルガル神は、扉をくぐりました。

それから、
ナムタルは、日干し煉瓦の壁に
背をつけて座り込み
「俺はやるだけ、やった」
と、独り言をいい、
砂時計を懐から、取り出しました。
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