婚約破棄したい影の令嬢は
「‥‥あのぅ、アルフレッド殿下」

「何かな‥?」

「私っ、ティファニー・ルルシュと申します!!」


体を擦り寄せるティファニーは先程、フィリップと婚約したと言ったばかりではなかっただろうか。


「君は‥フィリップの新しい婚約者では?」

「そ、そうですけれど、でも‥!」

「婚約者がいる御令嬢が他の男にベタベタするのは感心しないな‥‥逆もそうだけどね」

「‥!」

「っ」


アルフレッドの視線は明らかにフィリップを指している。
ディアンテという婚約者が居ながらもティファニーと関係を築いていた‥不貞行為があったと自分から周囲に自慢していたフィリップ。

クスクスとフィリップとティファニーを嘲笑う笑い声が響いた。

アルフレッドの言葉の意味が分かったのか、フィリップの頬が赤く染まる。
そして周囲との温度差にも気付いたのか、更に体を小さくさせる。

アルフレッドはニコリと微笑みながらティファニーの手をそっと外す。
ティファニーはアルフレッドの有無を言わせないオレンジの瞳を見て、一歩、また一歩と後ろに下がる。
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