泡沫の恋
6限のホームルームで行動班の予定を決めることになった。

班ごとに集まり、最終的な予定を作成し今日中に担任の稲田に提出しなくてはならない。

私達は一番後ろの窓際の山上君の席に集まり計画を立てることになった。

「じゃあ、一日目は札幌で時計台を見てそのあとその周辺をなんとなく散策して電車移動してどっかへ行くって感じでいいんじゃね?」

「さすがに適当すぎだろ」

山上君の案に九条が速攻でツッコミを入れる。

「いやいや!ガッチガチに予定決めても絶対うまくいきっこないから。こういうのは、その場所での直感で動いた方が良いんだって。臨機応変ってやつだよ」

どうやら山上君は思っていた以上に楽観的な人間のようだ。

「ヤバい、この班。なんか滅茶苦茶になりそうな予感しかしないんだけど」

「はっはっはっ、大丈夫だって。心配すんな!!全部俺に任せとけよ!」

「いや、それアンタが原因だからね。マジ黙って」

三花が露骨に顔を歪めても山上君が気にする素振りはない。

「無理無理。黙れないって。それに俺、班長だし?」

「この班、マジで終わってるんだけどぉ」

三花のげんなりした表情とは対照的に能天気に笑う山上君。

そんな二人のやりとりに私と九条は苦笑いを浮かべる。

そのとき、ズキッと下腹部が痛んだ。

みんなの会話を聞きながらそっと痛むお腹を手のひらで摩る。

さっき月一のものが来てしまった。

三花は『修学旅行前にペリー来航してよかったじゃん!』と励ましてくれたけど、徐々に腹部の鈍痛がひどくなってきた。

持ってきていた鎮痛剤も飲んだしもう少しで効いてくるはず。必死になって自分を励ましていたけど、もう限界が近い。

ああ、辛い。保健室行こうかな……。

私は九条と山上君に気付かれないようにお腹を摩り続けた。
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