年上のお姫さま
王子様は十四歳になり、毎夜の朗読をしてくれるようになった。
いつも恋愛小説だ。最近は、普通なら音読をためらうような内容だ。
「『王子の指がアマンダの秘所に触れた。それだけで愛の泉からの恵みが溢れて出る。』
なあ、愛の泉からの恵みって何だ?」
いちいち私に質問をしてくるから困った物だ。
「女性の体は、性的快感を覚えると股が濡れるのです。そのことだと思います」
「レアも濡れる?」
「経験がありませんので」
「触っていいか?」
「駄目です」
「残念。『アマンダの胸の先は、王子の愛撫で段々と尖って硬くなる。王子がそれを摘むと、アマンダの口からは何よりも甘美で淫靡な嬌声が溢れる。』
レアも胸の先は硬くなるのか?」
「さあ、経験がございません」
王子様の手が届くところに官能小説を置いているのは誰なのだろう。
女性向けの感じだが隠しておいてほしい。
「こういうのって、大袈裟に書いてあったりするだろ?」
「そうですね」
この小説の描写によると、王子は細身のイケメンだが股間の物がアマンダの腕くらい太いし、アマンダの胸はアマンダの頭くらい大きいことになる。
そんな人間がいたら怖い。
「この王子は、アマンダに触れるとすぐ勃起しすぎだろう。遅漏のくせに何度もしたがるし……。レアもこういう男がいいのか?」
「創作では、強引に求めてくれる美形で地位もある男キャラが読者に求められるようですね。実際は、ダンスと一緒で優しくエスコートしてくれて、とても一途に想ってくれる男性の方が好ましく思います」
本心だが、言いながら変な汗が出てきた。
他意はない。
だが、私を優雅にエスコートしてくれたのは王子様くらいだし、何年も飽きずに大好きだと全身で伝えてくれるのも王子様だけだ。
「レア……」
抱き締められて、胸を触られた。
本を置いて、私のネグリジェの上から優しく揉んで乳首も愛でてくれる。
正直、愛の泉からの恵みが溢れている。
こんな経験初めてなのに。
淫乱なのだろうか。
王子様の股間に手を伸ばしたら、「それは不要だ。俺も小説の王子の二の舞になる」と、興奮しているくせに自分の快楽を後回しにされた。
「私の腕よりは小さいようですね」
「そんなに大きいとレアが壊れてしまうからな。あと少しは大きくなる予定だから楽しみにしてろ」
「はい……」
私と同い年の人なんかは、王子様くらいの子供がいる人もいる。
赤ちゃんがいて授乳している人もいる。
私は、こんな子供に触られてよがっている。
唇を強く噛みしめて声を殺す。
「レア、声聞かせて」
「恥ずかしいです」
「聞きたい」
「……あんっ、ロクス、そんな触り方は駄目です」
「綺麗だな」
「え?」
「俺の拙い愛撫を優しく受け止めてくれるレアは、この世の何よりも美しい」
「な、何をおっしゃいますか? んあっ……んんっ……」
「女を抱く訓練を始めたんだ。レアに負担をかけないためにちゃんとしようと思ったが……。全然勃起しなくて困ったんだ。レアに触れるとすぐこんななのにな。こんな劣等生な俺では、レアに相応しくないだろう……」
王子様はすごく悔しそうに涙を目に溜めている。
「…………今でもこんなに気持ちいいのですから、訓練なんてされたら快楽で死んでしまいます」
慰めようとしたのだが、ものすごく問題発言をした気がする。
「レア」
「……はい」
「その訓練は自主学習にする。だから気持ちいいところを教えてくれ」
「んっ……、ダンスと同じで……、言葉にしなくても、察してください……」
「わかった」
それから毎夜いろいろ察された。