年上のお姫さま
あてもなく馬を走らせていたら、豪華な馬車とすれ違った。
「レア!」
幻聴まで聞こえだしたか。
まだ祖国から出てもいないのに。
「止まれレア!」
振り返ると、馬車から降りて追いかけてくるロクスがいた。
「本物?」
「偽物がいてたまるか。こんな時間に何してる?」
「逃避行ですわ」
「は?」
「さよなら」
「待て! 祖国に帰りたかったのではなかったのか?」
「さあ」
もうよくわからない。
「だから……好きでもない俺と結婚する前に返したのに」
「え?」
「いつもすまなかった。俺が一方的にレアに想いを寄せて触れた。レアが逆らえない立場だとわかっていて気持ちも考えずに。だから、無理に結婚する前に、成人してやっと自由なことが増えたからレアを解放したんだ。
何が駄目だった? 俺が……レアを愛したからか?」
王子様は疲弊している。
「あんなに愛してくださったのに、あっさり手放したのですね」
「レアが祖国のお姫様に戻って、ちゃんと地位を取り戻してから再度プロポーズをするつもりで来た」
「はあ?」
「婿入りして、レアとこの国を発展させるのも楽しいと思ったんだ。かなり改善の余地があるみたいだし」
「ロクス……」
「結婚してください。嫌なら断ってくれ。もう諦めるから」
大人になったロクスに跪かれた。
「……はい」