漆黒の女帝
（やっぱり、あれはただの夢じゃないってことなのか？）

目を閉じ、自分の目の前が真っ暗になると、その瞼の裏に浮かぶのはあの女性だった。それを見た瞬間、北斗はまた吐き気に襲われてその場にうずくまる。

「おい、北斗！誰か！誰か来てくれ！」

修行仲間の言葉がどこか遠く感じた。



それから、北斗はあの夢を見てしまうかもしれないという恐怖からどれだけ疲れていても夜に眠ることはできなくなった。そして寝不足から集中できずに失敗ばかりし、師匠から怒られてしまう。

「ハァ……」

一時間与えられた昼間の休憩時間が、唯一北斗が眠ることができる時間だ。何故か、昼間の時間帯ではあの夢は見ない。そのため安心して眠ることができる。

（何で、こんな変な夢を見るようになったんだ？次にあの夢を見たら俺はどうなるんだ？）

夢のことを考えていると恐怖が込み上げてくる。それを振り払うように北斗は頰を軽くつねり、目を閉じた。
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