#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
「あ、うん、明日も早いしもう寝ようか」
美聖の言葉を聞きながら息吹は、ソファーに置かれた毛布や枕を見下ろす。
息吹は美聖のスケジュールを把握しているわけではないが、おそらく彼に休みはない。顔も良くて高身長で、演技力もあって、出演者やスタッフからも好印象の美聖を誰だって使いたがる。
映画やドラマ、CMに雑誌、ラジオやバラエティー番組にも引っ張りだこな美聖の疲労は、見せないだけで確実に蓄積されているはず。
「……私がソファーで寝るよ」
息吹の口からこぼれ落ちていた。逸れていた美聖の視線が息吹へと戻り、綿毛のようにふわふわのらりくらりしていた瞳が、真っ直ぐ息吹へと向けられる。