大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜


 涙ぐむ私にむかって、同級生やクラスメイトが抱き付いてくる。

 ロビーに響く大きな声、みんな素直に喜んでくれた。


「ありがとう、すごく嬉しいよ」


 友人たちと感動を分かち合っていた時、先生が姿を見せる。


 私は周囲の視線を気にせず、走り寄って思いっきり抱き付く。

 先生の胸に顔を埋め、声を出して泣いてしまった。



「ありがとうございます、ありがとうございます……」



 うまく言葉にできないほど感情が溢れ出て、私は涙が止まらない。

 でも、先生は大人の対応。

 周囲の目もあるので、けっして私の背中に腕を回して抱き付いてくることはなかった。


 顔を上げて見ると、先生も目を赤くして涙ぐんでる。

 口には出さず大人の対応をしてるけど、すごく喜んでくれてるのが伝わってきた。


 少し離れて遠巻きに見ていた優介と沙也香の姿がない。

 結果を見届けて二人とも立ち去ったのだろう。


 私は視線を気にせず、先生に抱き付いたまま涙を流していた。

 きっと、他人からはピアノ教師と教え子の感動的な場目ぐらいに見えてるのだろう。


 大好きな先生と一緒に頑張ってきた結果が出て、報われた安心感。

 私は、しばらく涙が止まらなかった……



 今回のピアノコンクールで最優秀賞を勝ち取ったことにより



 私は音大の推薦を受けることになる。







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