今年こそは
「おっはよー!咲、俊君!」
「ん?おはよう菜乃、ご機嫌だね」
「え!もしかして二人とも知らないの?」
「何がだ?」
「今日、転校生が来るって言ってたじゃん!」
初耳だ。俊も同じようで間抜けに口が開きっぱなしだ。
「えっ?全然聞いてないんだけど?」
「あー、昨日二人とも挨拶終わったらすぐ帰ってたからなー」
「そうか」
「うん!職員室で見た子は、イケメンだって噂されてるの!」
「なるほどね。だから女子のみんな今日は、なんか違うんだね」
教室に入ったときの違和感はこれだったようだ。みんな髪がいつもよりかわいい。なんだかほわほわしている。
「男なんだな」
「うん!楽しみすぎるなー、ねぇ咲!」
「あはは、そうだね」
軽く苦笑いをしたまま席へ向かう。
「ん?咲、元気ないね」
「あぁ、昨日ちょっとな」
「えー?なんだろう気になるな」
「どうせすぐ戻るから気にすんな」
「流石、俊君は咲のことよく分かってるね」
「うるせぇ、早く座れよ」
席について考えるのは、やっぱり彼のこと。今日もしも彼がきてくれなかったら、もう二度と来なかったらどうしよう。気持ちを切り替えるのには時間がかかると思ったが、私の悩みはすぐに解消された。
「はーい、先に着いてね!」
女の国語の先生でうちの担任が入ってきた。
「知ってる人もいると思うけど、今日は転校生の子がいます!みんな静かにね!それじゃあ入ってきてください」
「「「「「キャー!」」」」
女子の悲鳴が凄すぎてすぐに下を向いてしまう。後ろの席の俊が何か言っているが悲鳴で聞こえない。
「何?」
「前、見ろって!」
「何が…」
フードを被ったまま入ってきたその転校生と、目が合う。直ぐに分かった。私の中の咲が叫んでいるようで、胸が速すぎる鼓動を打つ。
「北斗…君?」
「あぁ、昨日きたのはあいつだ」
俊が耳打ちをして教えてくれた。どうやら本当に彼のようだ。
「初めまして、今日転校生してきた如月北斗です。…よろしく」
「「「「キャー!」」」」
二度目の悲鳴で現実に引き戻される。これは夢でもないらしい。彼がここにいるのは紛れもない事実のようだ。
「はーい!静かにね、北斗君は後ろの方の俊君の隣の席ね」
「はっ?聞いてねーんだけど」
「うん、今言ったからね。じゃあ北斗君はあそこの席についてくれる?」
「はい」
俊の隣ってことは…斜め後ろの席ってこと?彼は私のことは知らないはず。落ち着け!と
































< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop