待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
その夜、親友で隣の総務課の前田和美に、会社近くのイタリアンに連れていかれていた。
壮一との付き合いは社内では秘密にしていたのだが、高校時代からの親友である和美にだけは打ち明けていたのだ。
和美は眉間にしわを寄せ、赤ワインを勢いよく飲み干すと、タン、とグラスを少し乱暴にテーブルに置いた。
「それで壮一くんとはきっちり話したんでしょうね?」
「いや……」
できれば最後にきちんと話をしたくて、あの衝撃の告白のあと、彼にメッセージを送った。
【一度だけきちんと話したい。】
既読はついたのに、その返事はない。
私は息を吐く。
「私がわかってなかっただけで、きっとあの喧嘩のあとのメールで別れたってことになってたんだろうし。だから私は話しを強要できる立場なんかじゃないの」
私が言うと、和美はさらに眉間のしわを深めた。
「どうして⁉ もし本当に別れてたとしても、時期的に子どもできてるのはおかしいでしょうが! 喧嘩したのが一か月前でしょ。それで今椎野さんが妊娠四か月ってどういうことよ! 最悪すぎる!」