待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
椎野さんは席に着くと、私を見て言った。
「柑士兄さん、こうと決めたら一直線だから。そういうところは貪欲だしワガママかも」
そう言われて、なんだか納得してしまいそうになる。
すると、椎野さんは加えた。
「柑士兄さんは昔から誰かに心を開くのが苦手なんです。昔は一人信頼できる人がいたみたいなんですけど、その人も亡くなったみたいで……。多分、今はひよりさんだけ」
「……え」
「私が言うのもなんだけど、柑士兄さんのこと、よろしくお願いします」
椎野さんはそう言って頭を下げた。
私はそんな椎野さんを見て、小さく頷くだけで精いっぱいだった。