待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~

 椎野さんは席に着くと、私を見て言った。

「柑士兄さん、こうと決めたら一直線だから。そういうところは貪欲だしワガママかも」

 そう言われて、なんだか納得してしまいそうになる。
 すると、椎野さんは加えた。

「柑士兄さんは昔から誰かに心を開くのが苦手なんです。昔は一人信頼できる人がいたみたいなんですけど、その人も亡くなったみたいで……。多分、今はひよりさんだけ」
「……え」
「私が言うのもなんだけど、柑士兄さんのこと、よろしくお願いします」

 椎野さんはそう言って頭を下げた。
 私はそんな椎野さんを見て、小さく頷くだけで精いっぱいだった。

< 57 / 83 >

この作品をシェア

pagetop