初恋を拗らせたワンコ彼氏が執着してきます
「私は何も……でも、9年前に私たちが会った事があるって社長はご存じだったんですね」
「両親には全部話してあるよ。その上で協力してもらってた」
「協力? 何を?」
 唯花は透の言葉に首を傾げる。

「引くかもしれないけど……」と前置きしてから透はこれまでのことを話しだした。
 
 真面目になったのも、がむしゃらに勉強したのも、旧姓で桜田フーズに入社し実力をつけるため必死で働いたことも全て唯花に相応しい男になるためだったこと。
 そして再会が偶然ではなかったこと。

「社長の養子だって黙っててごめん。知られたらあなたに逃げられると思ったんだ」
「そこは許してあげて。それに僕も多少の便宜は図ったけど、透くんが努力をし続けたから今があるんだと思う」
「そこまでして……」
 
 唯花にとって驚くべきことばかりだ。自分のことを強く想い続け、再会を望んでくれた。再会後もその気持ちは変わることはなかったのだ。

(それなのに私は『大人だから』『彼の為』と言い訳をして折原君との距離を取ろうとしてた……本当は自分が傷つきたくないだけのくせに)

「唯花さん、透くんの愛は重いかもしれないけれど一途だから大目にみてやって。我が家も歓迎するから安心してお嫁においで」
「えっ、お、お嫁になんて、そんな……」
< 52 / 62 >

この作品をシェア

pagetop