夜が明けたら君に幸せを。
制服を着たままだったからか。


いつも通っている馴染み深い場所だからか。


それとも何か別の本能的なものなのか。



とにかく、夜の学校は難なくと入ることができて、まるで何かに誘われているかのように足が勝手に上へ上へと階段を登っていく。



窓からは神々しい月の光が暗い道を照らしてくれている。


こっちだよ、と道標をしてくれているかのように。



自然と歩くペースも速くなり、上へとずっと視線を向けていたから、油断していた。



まさか、自分が足を踏み外してしまうなんて思いもしなかった。


まるで、スローモーションのようだった。



傾いた体が、今登ったばかりなのに下にどんどんと落ちていく。



–––––ああ、もうどうでもいいや。



生きるということを、あの日から諦めていた。


死ぬということへの恐怖すら感じない。



–––––『約束だよ』



激しい音を立てて下へ落ちていく中、誰かの声が聞こえた。


あれは、誰…?



うっすらと瞼を持ち上げると、誰かがこちらを覗き込んでいた…気がした。
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