夜が明けたら君に幸せを。
にっこりと優しく微笑んだ柏木さんからは、言っていることが本心だということが窺える。



「…嫌いじゃ…ないよ」


「え?」


「柏木さんが嫌いなんじゃない。…なるべく人と関わりたくないの。今だって、本当は助けないで見て見ぬふりしようとしてたし」



それに、自分と柏木さんを重ねたから助けられたのだ。


誰も救ってくれなかった自分が、少しでも救われる気がして。



そんな理由で助けたって、それはただの偽善でしかない。


私は最低だ。



「でも、助けてくれたでしょ?」


「…え?」


「見て見ぬふりしようとしたけど、しなかったじゃん」


「それは…昔の自分と柏木さんを重ねたから。私は柏木さんを助けて、自分が救われた気持ちになりたかっただけなんだよ」



さすがの柏木さんだって嫌な気持ちになるだろう。


ただの勝手な自己満足に巻き込まれたんだから、怒るかもしれない。



だけどそれでも私はいい。一人を望む私にとってはそっちの方が都合がいい。
< 29 / 117 >

この作品をシェア

pagetop